深い深い森の奥。
外の世界から隔離されたように……
あるいは潜むようにして、
杜ノ宮学園は佇んでいた。
この世界に生きる多くの人々は別の呼び方で、
その学園を認識している。

サナトリウム、と。

この学園には世界中から
少年、少女が集められてくる。
日常生活を送ることも困難な異能……
歪な『ギフト』をその身に宿した者の、
最後の拠り所として。
学園を運営する『ギフト』研究組織、
『ユズリハ機関』に大切に守られながら。

なぜなら、彼らのその力は
天にいる御方が与えた祝福であり
恵みなのだから。
神がもたらした奇跡を恐れることなどは
決して許されない。
それは神の意志の否定、
神が作ったこの世界の否定になるのだから。

主人公の少年、小早川祈も『ギフト』の
発現によってこの杜ノ宮学園に招かれた一人。
彼に発現した特徴とは、
『自らが決めたひとつのことを除いて、
新しい記憶を持ち越せない』
という奇怪なものだった。

「キミは全てを忘れるわけではない。
たったひとつのことは覚えておける」
「そのたったひとつを見つけることが、
唯一、キミがこの学園で
成し遂げるべきことなのだろうとボクは想像するね」
と誰からもらった言葉だったか、
それだけが唯一の道しるべ。

悩みながら、生涯の『枷』……
孤独を胸に隠しながら、
閉じた学園で静かな日々を送る主人公。
そんな彼の前に現れた一人の編入生、御厨恋。
彼女は「何も諦めたくない。
この場所で青春の喜びを経験したい」と笑う。
そして
「自分はもうすぐ死んでしまうから」……と。

これは運命の意味を問う物語。神は確かにそこに存在し、それを少年達に問いかけ続ける これは運命の意味を問う物語。神は確かにそこに存在し、それを少年達に問いかけ続ける

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