二年ほど前に世間に認知された病。
それは思春期の少女に芽生える別の人格のようなもの。
少女達はなにかしら自分の感情を抑えつけることで心に<お姫さま>を宿し、
その感情が刺激されることによって<お姫さま>は目覚めます。
<お姫さま>が目覚めると、まるで人が変わったかのようにその感情を表すようになるのです。
病はその重さによってE~Sランクまでランク付けされ、
中でもレベルB以上は<望奏【メルヘン】>と呼ばれる特殊な力を使い
トラブルを起こすこともしばしば。
<望奏【メルヘン】>の力の内容は様々だが、基本的には少女達の心に
住む<お姫さま>のモデルとなる童話や説話に則した能力が発現します。
この病は発症した後、年齢を重ねるに従って自然に治癒され、
大人になれば必ず消えると言われています。
<お姫さま>に対抗できる素質と力を持った者のこと。
<王子>という存在はごくごく稀なもので、
10年に一人程度しか生まれてこないと言われている。
また、<王子>としての力が使える期間は思春期の間までとなっており、
成人を過ぎたあたりでその力は失われるらしい。
都心から繋がった巨大な一本橋の先にある
人工島<夢ヶ島>に建てられた、
全学生2500名程度の3年制の女子学園。
入学条件は
C級以上の
<お姫さま病【プリンセスシンドローム】>に
かかっていること。
病が活性化する年齢帯は非常に狭いこともあり、
C級以上の<お姫さま>は
この学園にしか存在しないことになります。
学生達のほとんどは学園近くに併設された
大小様々な学園寮に住んでおり、
祐二は男なので、寮の中でも一番小さくなおかつ
トップクラスの問題児ばかり集められた
寮に放り込まれることに。